「高血圧の基準はおかしい」は本当か?引き下げの真相と年齢別適正値

「高血圧の基準はおかしい」は本当か?引き下げの真相と年齢別適正値について押さえておきたい 注意点を厳選して解説いたします。

かつて日本では、最高血圧(収縮期血圧)の目安として「年齢+90」という計算式が広く知られていました。この基準に従えば、60歳なら150mmHg、70歳なら160mmHgまでは自然な加齢現象として許容されていたことになります。しかし、現在の基準ではこれらはすべて明らかな「高血圧」に分類されます。

なぜここまで基準値が引き下げられたのでしょうか。その最大の転換点は、昭和中期から平成にかけて進んだ死因構造の変化と循環器医学の進歩にあります。

かつての日本は脳出血による死亡率が非常に高く、極端な高血圧(収縮期180〜200mmHg以上など)を緊急で抑えることが最優先でした。しかし食生活の改善や生活習慣の変化に伴い、死因の主流は脳出血から脳梗塞や心筋梗塞などの「血管が詰まる病気」へとシフトしました。その後の大規模な追跡調査により、自覚症状がない140〜150mmHg台の軽度な高血圧であっても、長期間放置すると血管壁が傷つき、将来の心血管イベント発生率が跳ね上がることが判明したのです。

1970年代のWHO(世界保健機関)基準「160/95mmHg以上」から、2000年以降の「140/90mmHg以上」への移行は、単なる数値の厳格化ではなく、「発症してからの治療」から「発症を防ぐ予防医学」への歴史的転換を意味しています。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。