【2026年最新】佐藤愛子の遺した「凄絶なる一族」の記憶――新公開資料から浮かび上がる天才たちの相克と絆
佐藤愛子の父、佐藤紅緑は明治から昭和初期にかけて絶大な人気を誇った少年小説の先駆者である。しかし、家庭内における彼は、絶対的な君主であり、同時に激しい気性の持ち主でもあった。最初の妻との間に生まれたのが、後に「ちいさい秋みつけた」などの名作童謡を生み出すサトウハチローである。
紅緑とハチローの親子関係は、愛憎半ばする凄まじいものだった。放蕩を繰り返すハチローに対し、紅緑は勘当を突きつける。この父子の断絶こそが、佐藤家を取り巻く「表現者の業」の始まりだったと言えるだろう。愛子は後年、この二人の天才の狭間で、家族というものの不条理を見つめ続けることになる。