犬も歩けば棒に当たるに2つの意味がある衝撃の理由と正しい使い方
なぜ「犬」が歩くだけで「棒」に当たるという過激な描写がなされたのでしょうか。その語源と歴史的背景を辿ると、江戸時代の庶民の生活実態に突き当たります。
このことわざの直接的な発祥は、江戸時代中期から庶民の間で親しまれた知育玩具「江戸いろはかるた」の第1札(「い」の札)です。上方(京都・大阪)のいろはかるたの「い」が「一寸先は闇」であるのに対し、江戸の町では「犬も歩けば棒に当たる」が採用されました。当時の江戸の町には、現代のように飼い主とリードでつながれたペット犬などほとんど存在せず、町中を野良犬や半飼い犬が無数に徘徊していました。時には狂犬病の恐怖や、残飯を荒らす衛生面の問題から、人間にとって犬は警戒すべき存在でもありました。
当時の人々は、自宅の敷地や店先に近づいてくる野犬を追い払うため、手近にある棒切れを振り回して追い立てたり、実際に叩いて懲らしめたりしていました。つまり、「犬がフラフラと出歩いていると、人間に棒で叩かれるような酷い目に遭う」という情景は、当時の町民にとって日常茶飯事の光景だったのです。そこから転じて、「出しゃばって余計な行動をすると、痛い目に遭うから慎みなさい」という戒めの教訓として定着しました。「棒に当たる」の「当たる」は、「くじに当たる」ではなく「棒で殴打される」という意味だったのです。