ゲルストマン症候群とは?4大徴候と原因・脳の損傷部位を徹底解説
なぜ「指の認識」「左右の区別」「文字の記述」「計算」という一見かけ離れた機能が、ひとまとめに障害されるのでしょうか。その鍵を握るのが、脳の優位半球(右利きの場合は約99%が左脳)の頭頂葉に位置する角回(かくかい/Brodmann area 39)です。
角回は、視覚・聴覚・体性感覚(触覚や身体の深部感覚)という異なる感覚情報を統合する「高次情報処理のハブ」として機能しています。私たちは無意識のうちに、指という身体部位を空間的に把握し、数を頭の中で数直線として視覚空間的に配置し、左右という空間座標を処理し、文字という空間的記号を組み立てています。角回が機能不全に陥ると、この身体・記号・空間を結びつける共通の認知基盤が一挙に崩れ去るため、4大徴候が連鎖して発生するのです。
ゲルストマン症候群を引き起こす最大の原因は、中大脳動脈(MCA)の頭頂枝領域における脳梗塞や脳出血などの脳血管障害です。そのほか、頭部外傷に伴う脳挫傷、脳腫瘍の圧迫、一酸化炭素中毒後遺症、低酸素脳症などが挙げられます。