抜苦与楽の本当の意味とは?仏教の慈悲と医療現場で選ばれる理由

抜苦与楽の本当の意味とは?仏教の慈悲と医療現場で選ばれる理由の具体的な内容に迫る! 専門的な視点でまとめました。

抜苦与楽の由来・語源は、古代インドから中国を経て日本に伝わった大乗仏教の経典群に遡ります。『大智度論』をはじめとする諸経典の中で、仏や菩薩(ぼさつ)が生きとし生けるすべての存在(一切衆生)を救済するための基本姿勢として繰り返し説かれてきました。

自らの悟りだけを求めるのではなく、他者の苦しみを我が事として捉えて救済に動く存在が「菩薩」です。その菩薩が抱くべき心の状態として説かれたのが「四無量心(しむりょうしん)」であり、具体的には次の4つの徳目を指します。

・慈(じ):相手の幸福を願い、楽を与える心
・悲(ひ):相手の苦しみに同苦し、苦を抜き去る心
・喜(き):他者が苦を脱し、楽を得たことを共に喜ぶ心
・捨(しゃ):執着や偏見を捨て、すべての人を平等に見つめる心

この「慈悲喜捨」の根底を貫く具体的な実践目標こそが「抜苦与楽」です。古代の仏教者たちは、単なる理想論としてではなく、日々の修行や人々への布教活動、施薬や救護活動の行動規範としてこの言葉を大切に受け継いできました。

田中 結衣

田中 結衣

デジタルマーケティングコンサルタント

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。