ソニーシティ大崎売却の真相と現在|1100億で手放した決断の真実
品川区大崎は、ソニーにとって創業の地である品川・御殿山エリアと並ぶ歴史的な拠点でした。1960年代から稼働していた旧「ソニー大崎テクノロジーセンター」は、トリニトロンカラーテレビをはじめとする世界を席巻したAV機器の開発・生産拠点として、技術陣の情熱が結集していた聖地です。
2000年代後半、東京都が進める大崎駅周辺再開発の波に乗り、ソニーは老朽化した旧大崎ビル群の建て替えを決定しました。総力を結集して2011年3月に竣工させたのが、地上25階・地下2階、延床面積約12万4,000平方メートルを誇る「ソニーシティ大崎」です。設計を手掛けたのは日建設計。テレビ事業やオーディオ事業の中核エンジニア約5,000名を集約し、次世代のイノベーションを生み出す巨大開発拠点として産声を上げました。
このビルは建築環境工学の観点からも世界的な注目を集めました。その象徴が、外壁に組み込まれた世界初の環境技術「バイオスキン」です。保水性のある多孔質セラミックルーバーに雨水を循環させ、水の蒸発潜熱によってビル周辺の気温を約2℃低減させるこのシステムは、都市のヒートアイランド現象を抑制する画期的な試みとして「日本建築学会賞」をはじめ数々の国際的デザイン賞を受賞しました。