「絶歌」の衝撃と残された問い 元少年Aの手記と出版倫理の現在
紙の書籍としての絶版や店頭撤去議論を経て、問題は新たなステージへと移行した。それがAmazon Kindleをはじめとする電子書籍プラットフォームでの流通である。物理的な在庫を持たない電子書籍は、一度配信されれば永続的にアクセス可能な状態が維持される。
ネット空間において、元少年Aをめぐる情報は形を変えながら現在も拡散を続けている。手記刊行後に立ち上げられたとされる公式ウェブサイトや有料ブロマガの存在は、加害者が社会との接触を模索しつつも、ネットユーザーとの間で新たな摩擦を引き起こす要因となった。デジタルコンテンツとしての犯罪手記は、いつでも容易に手に入るアイコンとしてネットの深層に定着し、風化を拒むかのように佇んでいる。