新宿思い出横丁が世界を魅了する真相|闇市の歴史から名店巡りまで
新宿思い出横丁の歴史は、終戦直後の1946(昭和21)年頃にまで遡ります。焦土と化した新宿駅西口の広場周辺に、露天商が集まってできた「闇市」がすべての始まりでした。当時、統制物資だった米や酒、肉類の入手が極めて困難だった時代に、比較的調達しやすかった牛や豚の内臓(もつ)を串焼きにして提供する店が次々と誕生します。これが、現在も横丁の代名詞である「もつ焼き・焼き鳥カルチャー」のルーツです。
かつてこの場所は、地元の人々から親しみを込めて「しょんべん横丁」と呼ばれていました。当時の掘っ立て小屋が並ぶ路地には共用の公衆トイレがほとんどなく、線路際などで用を足す客が後を絶たなかったことから生まれた通称です。その後、1990年代後半に商店街の整備が進むなかで、ノスタルジックな情緒を後世へ伝えるべく「思い出横丁」という正式名称へと統一されていきました。
横丁を語る上で欠かせない出来事が、1999年11月に発生した大規模火災です。激しい炎によって横丁全域の約3分の1にあたる店舗が焼失する悲劇に見舞われました。しかし、店主たちの強固な団結と長年通い詰める常連客の熱い支援により、当時の木造建築の風合いや間口の狭さを忠実に残した形で復旧を果たしました。災禍を乗り越えて守り抜かれた昭和の路地裏景観は、奇跡的な歴史遺産として今に息づいています。