パスポートの色の違いは何を意味する?赤青緑黒の秘密と賢い選び方

パスポートの色の違いは何を意味する?赤青緑黒の秘密と賢い選び方に関する気になる情報を初心者にも親しみやすくまとめました。要点を確実におさえることができます。

日本の国際空港で一般乗客が足を踏み入れない特別レーンや外交団用窓口では、赤や青とはまったく異なるオーラを放つ旅券が提示されています。それらが「緑」「黒」「茶色」の特殊旅券です。

漆黒の装丁「外交旅券」が持つ治外法権と不逮捕特権

日本のパスポートのなかで最も発行部数が少なく、最高峰の格式を持つのが黒色の外交旅券(Diplomatic Passport)です。所持対象者は極めて限定されており、皇族方、内閣総理大臣、衆参両院議長、最高裁判所長官、国務大臣、そして海外に赴任する特命全権大使や外交官本人とその同行家族に限られます。

外交旅券を所持して相手国に派遣される外交官には、外交関係に関するウィーン条約に基づき、受け入れ国における民事・刑事上の裁判権からの免除(不逮捕特権)や、手荷物の無検査通関(外交特権)など、極めて強大な法的庇護が認められます。漆黒のカラーリングは、国際慣例において「国家を代表する絶対的な権能」を意味する格調高い色として選択されています。

深緑の「公用旅券」を携えて世界へ渡る実務者たち

黒色の外交旅券に次ぐ格式を持つのが、深緑色の公用旅券(Official Passport)です。こちらは外交使節ではないものの、日本国の公的な用務で渡航する公務員や准公務員に対して交付されます。

主な所持者は、国連平和維持活動(PKO)に派遣される自衛官、国際協力機構(JICA)の派遣専門員や青年海外協力隊員、さらには国際会議や政府間交渉に出席する各省庁の官僚たちです。公用旅券の所持者は、相手国政府との事前協定に基づき、一部のビザ免除や入国手続きの簡素化といった便宜供与を受けられます。ただし、この旅券で認められる渡航目的は「指定された公務」に完全に限定されており、私的な観光目的での利用は法令で固く禁じられています。ミッション完了後は速やかに外務省へ返納することが義務付けられています。

異国でトラブルに見舞われた際の最終砦「緊急旅券(茶色)」

一般旅行者が海外滞在中にパスポートを盗まれる、あるいは紛失して途方に暮れる事例は後を絶ちません。そうした非常時に、現地の日本大使館や総領事館で即座に発行される救済措置が茶色の緊急旅券(Emergency Passport)です。

通常、海外で正規の10年・5年旅券を再発行するには、日本の外務省本省とのデータ通信やICチップのエンコード処理などを要するため、手元に届くまで最短でも1〜2週間程度の時間を要します。しかし、「商談や緊急の手術で別の国へ即座に移動しなければならない」といった待ったなしの状況において、在外公館の現場で即日〜数日以内に発行されるのがこの茶色の冊子です。有効期間は原則として1年以内に制限され、緊急事態を乗り切るための臨時の身分証として機能します。

阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。