社会福祉主事とは?大卒者の多くが実は保有?社会福祉士との違いと真相
「自分は経済学部卒だから福祉の資格なんて関係ない」と思い込んでいる大卒者が、母校の成績証明書を取り寄せて確認したところ、すでに資格要件を満たしていた――。福祉業界の採用現場では、こうした事例が日常茶飯事として報告されている。ネット上で囁かれる「大卒の多くが無自覚に持っている」という言説は、制度上、紛れもない事実である。
この現象を引き起こしている元凶が、通称「三科目主事」と呼ばれる取得ルートだ。社会福祉法第19条第1号に基づき、四年制大学や短期大学において、厚生労働大臣が指定する科目のうち「いずれか3科目以上」の単位を修得して卒業した場合、自動的に社会福祉主事任用資格の取得条件を満たすと規定されている。
厚生労働省が定める指定科目の内訳を見ると、社会福祉の専門科目だけでなく、一般教養や基礎教育科目として広く開講されている科目がズラリと並んでいる。
- 法学(憲法、民法、行政法などを含む)
- 経済学(マクロ経済学、ミクロ経済学など)
- 社会学
- 心理学
- 教育学
- 社会政策
- 統計学
文系学部はもちろん、理系や教養系の学部であっても「法学」「経済学」「心理学」といった講義を教養課程で選択し、単位を取得して卒業した学生は膨大な数にのぼる。資格試験の受験も不要で、卒業証書を受け取った瞬間に要件をクリアしているため、当事者がまったく気づかないまま数十年にわたって放置される事態が構造的に生まれている。
ただし、合格証書や免許証のような「賞状」が自宅に郵送されてくるわけではない。社会福祉主事はあくまで行政機関や福祉施設でそのポストに任命されるための「資格要件」に過ぎないため、公的な免許証は最初から発行されない仕組みになっている。この制度設計の特殊性が、「持っている実感が湧かない」最大の要因といえる。