受療率とは?有病率や罹患率との違いと最新推移を統計から徹底解説

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受療率の公的なよりどころとなるのは、厚生労働省が3年に1度の大規模調査(中間年は簡易調査)として実施している「患者調査」です。明治期以来の統計を源流とし、昭和28(1953)年から現在の体系で継続されている国の基幹統計です。

患者調査における人口10万対受療率の計算式は、次のように定義されています。

人口10万対受療率 = (調査日当日の推計患者数 ÷ 推計人口) × 100,000

実務上は、特定の「調査日(通常10月中旬の指定された1日)」に行われた全国の病院・診療所からの報告をもとに推計患者数を算定し、それを分母となる当該地域の人口で除算して算出します。医療政策の現場では、入院患者を対象とした「入院受療率」と、通院患者を対象とした「外来受療率」に明確に細分化して分析されます。

主要な指標の差異と用途を俯瞰できるよう、以下の比較表に整理しました。

項目詳細・数値データ一般的な基準・相場編集部の見解・評価受療率(総数)調査日1日に推計された患者数をもとに、人口10万対で算出。入院・外来別で集計。外来:約5,000〜5,800(人口の5〜6%が当日受診)
入院:約900〜1,000前後で推移医療需要の即応的実態を示す。地域の医療資源供給量や受診抑制の動向に左右されやすい。有病率特定時点で疾病を有する者の割合。
(疾患保有者数 ÷ 対象集団人口) × 100(%)高血圧症など国民病では40歳以上で40〜50%に達するなど疾患別で大差。通院の有無を問わないため、公衆衛生上の真の健康課題や潜在的疾病負担を測る絶対基準。罹患率一定期間内に新しく発症した者の発生頻度。
人口10万対や人年単位で表記。全国がん登録などでは年間約100万人(人口10万対約800〜900例)が新規罹患。予防医学や感染症対策の成否を判断するための動態指標。受療率とは時間軸の次元が異なる。受診率(検診等)対象集団のうち、がん検診や特定健診等を実際に受けた者の割合(%)。特定健診で約55〜60%、がん検診で40〜50%前後(政府目標は50〜60%)。疾病予防への関心や自治体施策の浸透度を測る指標。「受療率」と語感が似ているため混同に注意。

このように並べると、受療率が担う役割の特殊性が鮮明になります。公衆衛生の計画策定において、「病気の発生を防ぐ施策」には罹患率を使い、「隠れた患者を見つけ出す施策」には有病率を使います。そして、「現在の病院ベッド数や医師・看護師の配置数が足りているかを検証する」ために不可欠なのが受療率なのです。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。