大阪・西天満「乙画廊」が放つ異彩|近代建築の中で紡がれる耽美と幻想アートの極致
乙画廊を語る上で欠かせないのが、入居している「大江ビルヂング」という建築そのものの歴史性です。建築家・葛野壮一郎の設計により大正10年に竣工したこの建物は、スクラッチタイルの外壁、丸窓、アール・デコ調のアーチや装飾細部が今なお色濃く残る、大阪屈指の近代建築遺産です。
重厚な石造りの階段、使い込まれた木製ドア、廊下に漂う独特の空気感。来廊者はギャラリーにたどり着く前段階から、すでに大正浪漫と昭和モダニズムが交差するタイムスリップのような感覚を味わいます。
乙画廊のコンパクトでありながら天井高のある展示室は、この建築が持つ歴史的磁場と強烈に共鳴しています。壁面に飾られた暗黒主義的な油彩画や、透明感あふれる水彩画、微細な銅版画、繊細な球体関節人形に至るまで、建物全体のクラシカルな雰囲気が作品の魅力を一層引き立てています。