葛西臨海水族園マグロ大量死の真相と現在|奇跡の復活劇と最新見どころ
1989年の開園以来、世界で初めてクロマグロの群泳展示を成功させた葛西臨海水族園。その象徴ともいえる2,200トンのドーナツ型大水槽「大洋の航海者」で異変が起きたのは、2014年12月初旬のことでした。
当時、水槽内にはクロマグロ69匹をはじめ、スマやハガツオなど計159匹の回遊魚が泳いでいました。しかし、12月に入ると突如として魚たちが狂乱したように泳ぎ回り、アクリルガラスや水槽底面に激突して死亡する個体が続出。年が明けた2015年3月には、生き残った個体が「最後の1匹」と呼ばれるクロマグロのみという壊滅的な状況に陥りました。
この前代未聞の事態を受け、東京都ズーネットおよび東京都東部公園緑地事務所は専門家による調査委員会を立ち上げ、徹底的な死因究明を実施しました。発表された公式報告によると、死因は毒物や急激な水質悪化ではなく、複数の要因が連鎖した「複合的ストレスと感染症」でした。
調査では、死亡した一部の魚の脾臓や腎臓から「ウイルス様粒子(ラノウイルス近縁種など)」が検出され、免疫機能が低下していた可能性が浮上しました。さらに、近隣の工事に伴う微小な振動、照明設備の点灯パターンの変化、水槽内の視認性の悪化などが重なり、極度のパニックを引き起こしたと推測されています。時速数十キロで泳ぐマグロにとって、ガラス面への激突は背骨の骨折や即死につながる致命傷となります。ストレスと疾患の連鎖が、短期間での激減を招いた決定的な真相でした。