なぜ名作は突然消えるのか?絶版・廃盤危機と物理メディア争奪戦
デジタル配信の時代にあっても、権利関係の泥沼によって封印された代表例が、ケヴィン・スミス監督による1999年のカルト的名作、映画『ドグマ』だ。ベン・アフレックとマット・デイモンが堕天使を演じたこの宗教風刺コメディは、主要なストリーミングサービスで一切配信されておらず、正規のデジタル購入も不可能な状態が長年続いている。
原因は、旧ミラマックスの共同創業者ハーヴェイ・ワインスタインが個人的に権利を握り続けたことにある。法的な係争と複雑に絡み合った権利の網の目は、名作を市場から完全に隔離した。中古市場では過去に製造されたディスクが高騰し、海賊版が出回る事態に発展している。映画産業において、製作者の意思やファンの情熱とは無関係に、権利ビジネスの暗部に捕らわれて絶版・廃盤へと追い込まれる作品は決して『ドグマ』だけではない。