芥川賞の正賞「懐中時計」の正体とは?ブランドや値段と選ばれる理由

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栄えある正賞を手にした歴代作家たちは、この懐中時計をどのように扱っているのでしょうか。受賞後のエピソードには、作家それぞれの強烈な個性が表れています。

多くの受賞作家は、書斎のデスク上に特製スタンドを用いて飾り、「執筆時のペーパーウェイト兼お守り」として愛用しています。原稿用紙に向かう際、あるいはPCのキーボードを叩く際、机の片隅で静かに時を刻む懐中時計を見つめることで、文壇の第一線に立つ緊張感を維持していると語る作家は少なくありません。

一方で、昭和の無頼派作家たちの間では豪快な伝説も残されています。生活に困窮した若手作家が、受賞直後に懐中時計を質屋に持ち込んで当座の生活費や酒代に換えたという逸話や、後に大成してから質入れしていた時計を買い戻したというドラマは、昭和文壇の語り草となっています。

また、作家の没後に遺族から出身地の文学館や記念館へ寄贈され、貴重な展示品として一般公開されているケースも多数存在します。懐中時計は作家の手を離れた後も、その作家が生きた軌跡を物語る証拠品として保存されているのです。

井上 凛

井上 凛

シニアコンテンツプロデューサー

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。