瀬戸内の島風が育む極上和菓子。行列の途絶えない「はっさく屋」が魅せる熱狂と職人の執念【2026年現地ルポ】

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一見するとシンプルな大福。しかし、一口噛み砕いた瞬間にその概念は破られる。包丁で割ると、中から現れるのは驚くほど瑞々しい八朔の房だ。八朔特有の爽やかな酸味と、後味に残る微かなほろ苦さ。それが、なめらかで上品な甘さの白あんと出合ったとき、口の中で鮮烈な化学反応が起きる。

特筆すべきは、それを包む外側の「餅」だ。単なる白玉粉や求肥ではない。蒸したもち米にみかんの皮や果汁を練り込んだ特製の生地が使われている。噛むほどに広がる仄かな柑橘の香りが、中の八朔と白あんの見事な架け橋となっているのだ。果肉の「シャキッ」とした食感を殺さず、かといって皮が口に残ることもない。ミリ単位で計算されたかのような素材の調和に、職人の並々ならぬ執念が垣間見える。

山崎 陸

山崎 陸

ガジェット&アプライアンスライター

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