Back Number「ハッピーバースデー」歌詞の真相と胸を抉る理由
本作を語る上で欠かせないのが、2019年1月期に放送されて社会現象となったドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系/主演:深田恭子)との深い結びつきです。恋も受験も就活も失敗続きだった塾講師・春見順子と、東大合格を目指す不良高校生・由利匡平(横浜流星)らが織りなす不器用な群像劇に対し、back numberが提示したアンサーがこの楽曲でした。
当時の音楽雑誌のロングインタビューや特番ドキュメンタリーにおいて、作詞・作曲を手掛けた清水依与吏は楽曲制作時の生々しい苦悩を明かしています。タイアップのオファーを受けた際、台本を徹底的に読み込んだ清水は、主人公たちが抱える「何者にもなれない焦燥感」や「報われない努力へのやりきれなさ」に、自らの下積み時代の原風景を重ね合わせました。
「ドラマの登場人物たちのように、必死にもがいているのに報われない人間の気持ちは、自分自身が一番よく知っている。綺麗事の応援歌ではなく、どれだけ手を伸ばしても届かない悔しさをそのまま音にしたかった」と振り返る清水の証言通り、制作過程ではメロディと歌詞の推敲が極限まで重ねられました。ただドラマに寄り添うだけでなく、清水自身の血肉を通わせたパーソナルな痛みを注入したからこそ、タイアップの枠を超えて一人のリスナーの孤独に寄り添う普遍的なマスターピースが完成したのです。