瀬戸内寂聴と井上光晴の禁断愛|出家理由と妻・娘が明かした真相

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この特異な関係性において、最も謎めき、かつ圧倒的な存在感を放っていたのが、井上光晴の正妻である井上郁子でした。郁子は夫の激しい女性遍歴をすべて察知しながらも、決して取り乱して取り乱したり夫を責め立てたりすることはありませんでした。

それどころか郁子は、夫の愛人であった瀬戸内寂聴の出家を祝福し、得度式のために自ら着物や白装束を仕立てて贈るという常人には理解しがたい行動を取ります。寂聴が得度して京都・嵯峨野に「寂庵」を開いた後も、郁子は寂庵を訪れ、寂聴の手料理を食べながら夜通し語り合う親交を結びました。

夫・井上光晴を巡って争うのではなく、一人の底知れぬ男の「文学と狂気」を共有する戦友のような連帯感。郁子の胸中にあったのは、諦念を超えた巨大な慈愛と、妻としての絶対的な矜持でした。寂聴もまた、郁子に対して終生にわたり深い敬意と畏怖を抱き続け、二人の間には奇妙な友情と信頼が成立していたのです。

加藤 愛美

加藤 愛美

エンタメ専門ジャーナリスト

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。