原発避難者は金持ち?噂の真相と賠償金打ち切り後の過酷な現実
世間がイメージする「莫大な賠償金」とは、具体的にどのような基準で支払われていたのでしょうか。東京電力が定めた賠償基準の内訳を整理すると、大きく分けて3つの柱で構成されていました。
第1に、避難を強いられた精神的苦痛に対する「精神的損害賠償(慰謝料)」です。避難指示区域の対象者に対し、避難期間1人あたり月額10万円(原則)が支払われました。家族4人であれば月40万円となり、生活の支えとなった一方で、事故前の生活環境を完全に喪失した精神的負担を埋めるには決して十分な金額ではありませんでした。
第2に、避難によって職を失ったことに対する「就労不能損害(営業損害)」です。事故前の収入をベースに、失われた所得分が補填されました。そして第3が、土地、建物、農機具、家財などの「財物賠償」です。これらは時価や再調達価格を基準に一括査定され、持ち家や広大な農地を所有していた世帯には数千万円が支払われることもありました。
政府の統計や各種調査によると、強制避難区域における世帯ごとの賠償金受取総額の平均は数千万円から1億円前後に達する事例も見られます。しかし、内訳の大半は失われた不動産の買い直し費用であり、遊興費として使える自由な富ではなかった点が決定的に見落とされています。