アフレコとアテレコの違いは?実は全くの別物!声優業界の真相を徹底解説
なぜ現場では「アテレコ」という言葉が次第に使われなくなり、一部で「死語」とまで囁かれるようになったのでしょうか。その背景には、日本の放送黎明期における声優の社会的地位の変遷と、表現者たちの葛藤の歴史が深く関わっています。
1950年代後半、テレビ草創期に『名犬ラッシー』や『コンバット!』などの海外ドラマが輸入された際、当時の生放送やフィルムに合わせて日本語を喋る役者たちは「アテレコマン」「アテレコ声優」と呼ばれていました。当時の特番インタビューやベテラン声優の手記・自著によると、初期の現場は以下のような過酷な環境でした。
「当時はまだVTRの編集技術もなく、1本の映画を生放送で画面に合わせて喋り切るのが当たり前でした。舞台俳優の間では『顔を出さずに声だけをあてる仕事』は見下される傾向があり、『当て屋』『アテレコ屋』といった蔑称に近いニュアンスで呼ばれることも少なくなかったのです」(昭和期から活躍する草分け的声優の証言手記より)
その後、アニメブームの到来とともに声優が高度な専門職・表現者として確立されるにつれ、業界内では侮蔑的な響きを含んでいた「アテレコ」という呼称を避け、公式な専門用語である「吹き替え(日本語版制作)」または「アフレコ」へと統一する動きが進みました。今日、音響制作会社の発注書や台本、日本音声製作者連盟などの公的文書において「アテレコ」という技術表記が使われることはまずありません。