臼井儀人の遺書は実在したか?荒船山転落死と関係者が語る真相
あの日、登山計画を家族に告げて家を出た臼井氏は、日帰りハイキングの軽装で群馬と長野の境界に位置する荒船山へと向かった。標高1423メートル。山頂付近の「艫岩(ともいわ)」は、約200メートルの断崖絶壁が垂直に切り立つ難所として知られる。視界が開けた絶景スポットであると同時に、一歩足を踏み外せば命の保証はない危険地帯だ。
行方不明の一報を受けて捜索を開始した群馬県警察の山岳救助隊は、険しい岩壁の底で変わり果てた姿の臼井氏を発見した。現場には氏が愛用していたリュックサックや携帯電話、そして1台のコンパクトデジタルカメラが散乱していた。このカメラこそが、最期の瞬間を客観的に裏付ける決定的な証拠となった。
復旧されたカメラのSDカードに残されていた最後のカット。それは、崖の上から真下を覗き込むようにして撮影された構図の写真だった。足元の岩肌がかすかに写り込み、ファインダー越しに絶壁の高度感を捉えようとしていたことがわかる。警察の鑑識結果も、撮影の直後に足を滑らせて滑落した転落事故であると断定した。事件性や争った形跡は皆無だった。