芥川龍之介が最期に愛した片山廣子|或阿呆の一生「越し人」の真相

芥川龍之介が最期に愛した片山廣子|或阿呆の一生「越し人」の真相に関する主要なデータを丁寧に解説いたします。

芥川龍之介の晩年を読み解くうえで最大の鍵となるのが、死の直前に書き上げられた自伝的断章『或阿呆の一生』の第37章「越し人」です。「越し人」とは古語で「通り過ぎていく人」や「旅人」を意味しますが、作中では主人公が知的な輝きに圧倒され、激しく心を奪われる年上の女性として鮮烈に刻まれています。

作中には「彼女の才力は彼のそれと五分五分だつた」という一節があり、傲岸なまでの自負を持っていた芥川が、自らと同等以上の知性を持つ存在として認めていたことが窺えます。文壇においてこの「越し人」が誰を指すのかは長く議論の的でしたが、親交の深かった堀辰雄や室生犀星らの証言、そして近年公開された書簡の筆跡や内容から、片山廣子その人であることが確実視されるに至りました。

二人の関係は、通俗的な愛人関係や泥沼のスキャンダルとは一線を画していました。妻帯者であり家庭の重圧に押し潰されかけていた芥川と、夫と死別し気高い孤高を保っていた廣子。二人が共有したのは、言葉と教養の極致でしか触れ合えない、純度の高い魂の恋愛だったのです。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

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