ゲド戦記の宿敵・クモの正体!性別の謎と不老不死を追う狂気の真相
作中でひときわ異彩を放つクモの立ち振る舞いは、観客に「彼は男性なのか、それとも女性なのか」という素朴な疑問を抱かせる。流麗な髪型と柔らかな声調、どこか妖艶な仕草を見せる一方で、その内面には禍々しい執着心が渦巻いている。劇中では明確に明かされないこの性別の曖昧さこそが、クモという存在の不可解さを象徴する最大の要素だ。
映画におけるクモの正体は、かつて大賢者ゲド(ハイタカ)と対峙し、禁断の魔法「黄泉の国の扉」を開こうとした魔法使いである。かつてゲドに敗れ、魔法の力を封印された過去を持つ。ゲドへの深い怨念と「死」そのものに対する極度の恐怖が、彼を狂気へと駆り立てる原動力となっている。
さらに重要なのが、主人公アレンとその「影」との関係性だ。クモは、己の恐怖心を切り離そうとして生み出されたアレンの「影」を利用し、アレンの心を支配しようと画策する。自分が影から逃げ続けたからこそ、他者の影をも容易に見抜き、つけ込むことができる。つまりクモとは、作中で描かれる「光と影の均衡」が完全に崩れ去った終末的姿そのものなのだ。