小久保裕紀の脱税事件の真相と処分理由|現在ソフトバンク監督の軌跡
事件が公となった直後、福岡市内のホテルで開かれた緊急記者会見の場に現れた小久保裕紀は、憔悴しきった表情で深々と頭を下げ続けました。フラッシュの光を浴びながら、「ファンの皆様、プロ野球界関係者の信頼を著しく裏切る行為をしてしまい、弁解の余地もありません」と声を詰まらせて謝罪した姿は、当時のスポーツニュースで繰り返し放映されました。
メディアからのバッシングは苛烈を極めました。「高額所得者としての社会的責任の欠如」「球界のモラル崩壊」といった批判が新聞各紙の社説に並び、一時は無期限失格処分や球団解雇すら取り沙汰される危機的状況に陥ったのです。ファンからの失望の声も大きく、球団事務所には抗議の電話が殺到しました。
このどん底の期間、小久保は自宅に籠もり、猛省の日々を過ごしました。後援者や先輩選手から贈られた松下幸之助や稲盛和夫の哲学書、歴史書を読み漁り、「なぜ自分は野球をするのか」「一人の人間としてどう生きるべきか」という内省を極限まで深めたと、後のインタビューや自著で述懐しています。この時期の過酷な自己否定と学び直しが、のちの「読書家・小久保」「人間教育を重んじる指導者」の原点となりました。