堂本剛『街』誕生の壮絶な裏側|名曲の歌詞に込められた生と死の葛藤
『街』の成立過程を語る上で避けて通れないのが、当時の彼を苛んでいた極限の精神状態です。後に刊行された自著『僕の靴音』や特番インタビューにおいて、堂本剛は10代後半から20代前半にかけて重度のパニック障害や過呼吸発作に苦しめられていた事実を赤裸々に告白しています。
過密なスケジュール、プライベートを失った生活、世間から求められる「作られたパブリックイメージ」と「ありのままの自分」との凄まじい乖離。逃げ場のないプレッシャーのなか、東京のホテルの暗い部屋で、涙を流しながらギターを握りしめて書き殴られたのが、この『街』の原形でした。
そこには、幼少期を過ごした温かな故郷・奈良への強い思慕と、自らを飲み込もうとする巨大都市・東京への恐怖と葛藤が克明に刻まれています。「生きることを諦めそうになった夜、自分自身を救うために書いた」と本人が述懐するように、この楽曲は商業的な成功を狙ったものではなく、一人の人間が生き抜くための切実な防衛本能と祈りから生まれたものでした。