生誕100年の2026年、なぜ巨匠・安野光雅の「絵本と数学」は世界を揺さぶり続けるのか
彼の代名詞とも言える『旅の絵本』シリーズは、テキストが一切存在しない。画面を埋め尽くすのは、馬に乗った一人の旅人が静かに進む広大なヨーロッパやアメリカの風景だ。そこには名画のパロディや童话の主人公、歴史的出来事が密やかに隠されている。
読者はページの隅々まで目を凝らし、自らの知識と想像力をフル回転させながら独自のストーリーを紡ぎ出す。この「能動的な鑑賞体験」こそ、受動的なコンテンツ消費に慣れきった現代人にとって何より新鮮に映る。言葉を介さないからこそ国境を容易に飛び越え、言語の壁を感じさせない世界的なベストセラーへと育っていった。