北京の街角で追った、中国人がマスクを着け続ける衝撃の理由とは
国際時事・社会報道の現場に身を置くジャーナリストとして、日本国内で語られる「中国の衛生事情」に対するバイアスには常に違和感を覚えてきた。多くの日本人は「周囲が着けているから同調圧力で着ける」あるいは「政府の指示に従っているだけ」と考えがちだ。しかし、現場の構図は根本から異なる。
日本のマスク文化が「他者に迷惑をかけないためのエチケット」や世間体によって駆動されているとすれば、中国のそれは徹底した「自己防衛」と「プラグマティズム(実用主義)」に根ざしている。医療費の自己負担リスクを最小限に抑え、過密な都市環境をタフに生き抜くための個人装備。この根本的な動機の違いを理解しなければ、隣国の都市風景の真意を見誤ることになる。
誰かに強制されたからではない。他人の目を気にしたからでもない。自分自身の健康と生活水準を守るため、メリットがあるから着ける。このドライで合理的な個人主義こそが、街頭の風景を支える太い柱なのだ。