【2026年現地ルポ】函館市場のいま――イカ不漁の波紋とインバウンドバブルの狭間で揺れる「北の食卓」の最前線
観光地としての顔がクローズアップされがちな函館だが、プロの料理人や食通たちが「本物の目利き」を求めて足を運ぶのが、新函館ラーメン横丁の近くに位置する「中島廉売」や「函館自由市場」だ。観光客で溢れる駅前の朝市とは一線を画し、ここはまさに地元の料理店主や料理人が仕入れに訪れる玄人好みの空間である。
「どんなに海が変わろうと、その日一番の魚を見極めて手渡すのが俺たちの仕事」と語る魚屋の親父たちの眼光は鋭い。水揚げ量の少ない希少な深海魚や、朝獲れたばかりの地魚が雑多に並ぶ棚には、長年培われた信頼関係と知識が凝縮されている。観光化の波に流されず、食のプロの厳しい要求に応え続ける職人たちの存在が、函館全体のグルメの底力を支えているのだ。