堀道広の金継ぎが心掴む理由|金継ぎ部の評判や教室・キット全解説
堀道広氏が提唱する金継ぎがこれほどまでに人々の心を掴むのは、単に「割れた陶磁器を元通りにくっつける」という作業にとどまらない、温かな修復哲学にあります。
著書『金継ぎ手帖 セルフケアとしてのうつわ修復』や『おうちでできるおおらか金継ぎ』で一貫して語られているのは、「完璧を目指しすぎなくていい」という大らかな姿勢です。伝統的な漆芸では歪みのない端正な仕上がりが求められますが、堀氏の金継ぎでは、多少の歪みや漆の凹凸、はみ出しさえも「その器の新たな表情」として肯定されます。
合成接着剤や新うるし(植物性合成塗料)を用いた手軽な「簡易金継ぎ」が広まる一方で、堀氏は天然の本漆(ほんうるし)を使うことにこだわります。本漆は硬化するまでに日数を要し、扱いにも一定の注意が必要ですが、時間が経つほどに強度を増し、口に触れても安心な本物の風合いが宿ります。手間暇をかけて器と向き合い、漆が乾くのをじっくり待つ時間そのものが、忙しい現代人の心を癒やすセルフケアとして深く共感を呼んでいるのです。