『本を守ろうとする猫の話』結末の真相と世界を揺るがす名作の深層

『本を守ろうとする猫の話』結末の真相と世界を揺るがす名作の深層の注目ポイントを丁寧に掘り下げてご紹介します。

現役の医師として命の現場に立ち続ける作家・夏川草介。大ヒット作『神様のカルテ』で見せた人間の生と死に対する深い眼差しは、本作においても遺憾なく発揮されている。彼が小学館から上梓したこの物語で標的にしたのは、他ならぬ疲弊した出版業界そのものだった。

本を読まない読者ではなく、本を「大量生産・大量消費の消耗品」へと貶めるシステムの歪み。効率と売上ばかりを追い求め、中身の薄い要約本や刺激的なタイトルばかりが持て囃される現場への憤りが、物語を推進する熱量へと昇華されている。医師が病巣を切除するように、作家は言葉の力で文化の病理を暴き出してみせた。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。