大人のおねしょの原因とは?病気サインの見極めと最新治療・受診目安
健常な成人であれば、睡眠中は脳下垂体後葉から「バソプレシン(抗利尿ホルモン)」が多量に分泌され、作られる尿の量が日中の半分から3分の1程度に濃縮・減少します。同時に自律神経の副交感神経が適切に働き、膀胱は柔軟に広がって尿をしっかり溜め込みます。この精密なバランスが崩れたときに、大人の夜尿症が発症します。医学的に解明されている主な要因は次の4点に集約されます。
第1の要因は、夜間に十分なホルモンが分泌されない抗利尿ホルモン不足です。加齢や体内時計の乱れによって分泌リズムが狂うと、就寝中にもかかわらず日中と同等あるいはそれ以上のスピードで尿が生成され、膀胱の許容量を物理的にオーバーしてしまいます。
第2の要因は、膀胱の蓄尿機能の破綻です。自分の意志とは無関係に膀胱の筋肉(排尿筋)が過剰に収縮してしまう過活動膀胱や、膀胱壁が硬化して容量が小さくなる低コンプライアンス膀胱では、わずかな尿量でも強い内圧がかかり、睡眠中に意図しない排出が引き起こされます。
第3の要因は、覚醒閾値(目が覚める刺激の強さ)の異常です。通常は膀胱が満水に近づくと求心性神経を通じて脳の覚醒中枢に信号が送られますが、極度の睡眠負債や睡眠構造の異常が存在すると、脳がシグナルを認知できずに尿意覚醒が起こりません。
第4の要因として、ストレス自律神経の乱れが挙げられます。慢性的な精神的プレッシャーや環境変化は交感神経を過敏にさせ、膀胱の異常収縮を引き起こす一方で、睡眠の質を極度に悪化させてホルモン分泌のリズムを破壊します。