うつ病の嘘は見抜ける?精神科医が明かす詐病の兆候と現場の対応策
主治医の診断書を盾にして休職期間を乗り切ろうとしても、産業医面談で嘘がバレる理由は明確です。主治医の役割が「患者の主訴を受け止め、治療・療養環境を整えること(患者の味方)」であるのに対し、産業医の役割は「医学的見地から労働者が業務に耐えうる状態にあるかを中立的に評価すること(安全配慮義務の履行)」にあるためです。
産業医は、単に「気分はどうですか」と尋ねるだけではありません。起床時間、食事の回数、日中の過ごし方、図書館やカフェなど人が集まる場所での集中持続時間、通勤経路を模擬した移動が可能かといった「日常生活動作(ADL)の客観的データ」を詳細にヒアリングします。主治医の前では症状を重く訴えていても、産業医の多角的な確認を受ける過程で、生活リズムの乱れや回復段階との矛盾が浮き彫りになり、詐病のメッキが剥がれ落ちていきます。
現場を最も騒然とさせるのが、ネットの反応とSNSでの目撃情報です。「休職中の社員が海外旅行の写真をInstagramに投稿している」「フェスで酒を飲んで騒いでいる姿を同僚が見かけた」といった通報が人事に寄せられる事案は後を絶ちません。しかし、休職中の仮病疑惑に対する職場の対応として、感情的に本人を呼び出して問い詰める行為は厳禁です。
企業が取るべき適正な対応手順は以下の通りです。
- 事実関係の冷静な保全:SNSの投稿画面や目撃者の証言など、客観的な記録を私情を挟まずに保存する。
- 就業規則に基づく事情聴取:休職制度の主旨(療養専念義務)に違反していないか、書面や正式な面談で事実確認を行う。
- 主治医への照会同意の取得:「旅行に行ける状態が医学的な療養計画の一環なのか」を主治医に確認するため、本人の同意を得て医療照会を実施する。
- 産業医による職務適格性の再評価:主治医の回答と本人の主張を突き合わせ、復職基準や休職継続の妥当性を産業医に判断させる。