龍と竜の違いを完全解説!名付けや画数、西洋ドラゴンとの境界線と真相
インターネット上の言説を精査すると、「恐竜はなぜ『恐龍』と書かないのか」「画数が多い龍の方が本来は正しいのではないか」という疑問が根強く存在します。ここには、近現代の科学史と国語政策が絡み合った決定的な盲点があります。
「恐竜」という言葉を日本で初めて考案したのは、明治時代の地質学者・古生物学者である横山又次郎博士です。1895年(明治28年)、イギリスの解剖学者リチャード・オーウェンが命名した「Dinosauria(恐ろしいほど巨大なトカゲ)」という学名を日本語に翻訳するにあたり、横山博士は「恐立竜(のちに恐竜)」という訳語を創出しました。当時の文献では当然「恐龍」という表記も見られましたが、学術用語の普及段階において、教育現場への浸透を考慮した簡明な字形が好まれました。
決定打となったのは、前述の1949年当用漢字字体表の公布です。学術出版物や初等教育の教科書において、文部省(当時)の指導方針に基づき「恐竜」へと表記が厳格に一本化されました。中国語圏では現在も「恐龍(簡体字では恐龙)」と表記されますが、日本国内においては「学術用語および社会通念としての公式表記は『恐竜』一択」というルールが確立したのです。創作物などで意図的に古めかしい雰囲気を出す目的以外で「恐龍」と書くことは、現代の実務上では誤記や過剰装飾とみなされるリスクを伴います。