ネット使用料不要とは本当にお得?家賃上乗せのからくりと速度の罠
SNSや掲示板で頻繁に目にする「ネット無料物件は使い物にならない」「夜になると1Mbpsも出ない」という悲痛な叫び。この噂は誇張ではなく、物件の設備仕様によっては日常茶飯事として発生する物理的な問題です。
ネット使用料不要物件の回線速度を左右する核心は、「棟内の配線方式」と「1本の光ファイバーを共有する戸数」の2点に集約されます。建物内に導入されている配線設備には、大きく分けて以下の3パターンが存在します。
- 光配線方式(FTTH):共用部から各部屋まで光ファイバーを配線。理論値最大1Gbps〜10Gbpsで、最も速度減衰が少なく安定する方式。
- LAN配線方式:共用部ルーターから各部屋へLANケーブル(Cat5e〜Cat6等)で配線。仕様によって100Mbps〜1Gbpsが上限となる。
- VDSL方式:共用部から各部屋まで既存の「電話用メタル配線」を利用。物理的な理論上限が100Mbpsに制限され、ノイズにも弱い。
最大のボトルネックは、アパート1棟全体で「1本の1Gbps光回線を全住民でシェアしているケース」です。例えば16戸のアパートで、夜の21時から24時にかけて各部屋で同時にNetflixの4K動画視聴、大容量アップデートファイルのダウンロード、ライブ配信の視聴が行われた場合、帯域はあっという間に枯渇します。
日中の空いている時間帯には150Mbps〜300Mbpsという快適な速度を記録していても、最もネットを使いたいゴールデンタイムに実測値が5Mbps以下まで急降下する現象が頻発する理由は、この「1本のパイプの細さ」に起因しています。