切って敷くだけの絶品ごちそう!ぎゅうぎゅう焼き再ブームの真相
時計の針を数年前に戻そう。この調理法が日本中の家庭に一気に波及したきっかけは、村井理子氏による何気ないSNSへの投稿だった。「冷蔵庫にあるものをとにかく天板にぎゅうぎゅう詰めて焼くだけ」。その飾らない言葉と、色とりどりの野菜や肉がひしめき合う天板の写真、手軽さは、丁寧な暮らしの呪縛に疲れていた主婦やビジネスパーソンの心に深く刺さった。
「村井さん家のぎゅうぎゅう焼き」と呼ばれたそのスタイルは、従来の日本の料理本が強いてきた「きちんとした下ごしらえ」「細かな計量」「つきっきりの火加減」という暗黙のルールを爽快なまでに打ち破った。手抜きではなく、素材のポテンシャルを最大限に活かす合理的な選択。この発想の転換こそが、日本の家庭料理の歴史における小さな革命であったと言っても過言ではない。