石原裕次郎『夜霧よ今夜も有難う』誕生秘話と切ない結末の真相
楽曲のヒットを受けて同年3月に公開された映画『夜霧よ今夜も有難う』(監督:江崎実生)は、名作ハリウッド映画『カサブランカ』を翻案した日活ムードアクションの最高峰です。かつて愛し合いながらも運命に引き裂かれた男女が、港町・横浜で運命的な再会を果たすドラマが描かれます。
石原裕次郎演じる主人公・相良徹は、かつてボクサーとして栄光の座にありながら、恋人・秋子(浅丘ルリ子)の突然の失踪と事故により挫折。現在は横浜でクラブ「エデン」を経営する支配人として虚無的な日々を送っていました。そこへ、海外逃亡を図る密航組織に追われる男・宮井(二谷英明)とその妻となった秋子が偶然現れます。
過去の誤解や陰謀が明かされていく中、徹は自らの命を危険に晒しながらも、秋子と宮井を無事に船で脱出させるための手引きを行います。別れの波止場、夜霧の中で秋子を見送る徹の横顔と、静かに流れる主題歌。自らの未練を断ち切り、愛する女性の幸せを願って闇の中に消えていく切ない結末の余韻は、日本映画史に残る名場面として語り継がれています。