ジブリを支えた巨匠・浅山克己の作画哲学と始動する新プロジェクト
これまで表舞台で多くを語ることのなかった浅山だが、現場関係者の証言からは驚くべきエピソードが浮かび上がる。ある大作映画のクライマックスシーンにおいて、絵コンテの要求水準があまりに高く、作画チーム全体が頭を抱えていた局面でのことだ。浅山は数日間にわたり机にかじりつき、数百枚に及ぶ修正原画を一気に描き上げたという。
作画監督として現場の最前線に立つ際、彼が何よりも重視するのは「キャラクターの思考が指先まで通っているか」という点だ。美麗なポーズを描くことよりも、登場人物が何を恐れ、何を決意してその一歩を踏み出したのかを捉え切る。この妥協なき作画哲学こそが、公開から数十年を経ても色あせない名場面を生み出す源泉となっている。