「海のゴキブリ」から「磯のアイドル」へ──2026年、なぜ若者たちはフナムシに萌え始めたのか
「触ろうとすると一瞬で逃げますし、環境の変化には信じられないほど弱い。あれほど図太く見えるのに、心臓に毛が生えているどころかガラス細工のような生き物です」
都内近郊の水族館でタッチプールや磯の生態コーナーを担当する飼育員は、苦笑交じりにそう語る。2026年に入り、一部の施設ではフナムシを「害虫」として隠すのではなく、あえて透明なアクアテラリウムで単独展示する試みが始まった。
海辺にいながら、実は泳ぎが大の苦手で、海中に落とされると溺れてしまう。しかし完全に乾燥した場所では呼吸器(鰓)が干からびて死んでしまうため、常に波しぶきがかかる絶妙な境界線でしか生きられない。過酷なタイドプールで必死に生き残るその「か弱さ」を知った来館者からは、「不気味」という声よりも先に「がんばれ」という呟きが漏れるという。