子供の癇癪は親のせい?育て方の誤解を解き感情爆発を鎮める新常識

子供の癇癪は親のせい?育て方の誤解を解き感情爆発を鎮める新常識についての疑問解決ガイドをご紹介します。

結論から申し上げます。日常的に繰り返される激しい癇癪の主因を、親のしつけや育て方に帰結させる言説には医学的・科学的根拠がありません。厚生労働省の乳幼児健診データや小児科の臨床知見を紐解くと、癇癪を起こす頻度や激しさは、養育環境よりも子供自身の「神経系の発達スピード」と「生まれ持った気質(刺激に対する感受性)」に大きく依存していることが分かっています。

人間の脳において、怒りや恐怖といった原始的な情動を生み出す「大脳辺縁系(扁桃体など)」は乳幼児期から非常に活発に働きます。一方で、その爆発的な感情にブレーキをかけ、論理的に処理する司令塔である「前頭前野」の成熟には膨大な年月を要します。近年の脳機能イメージング研究でも、前頭前野の神経回路が社会的な自己制御を可能にするレベルまで整うのは、およそ5歳から7歳前後と指摘されています。つまり、2歳や3歳の子どもが激しく暴れるのは、「我慢しない悪い子」だからではなく、「感情のブレーキ機能が物理的に未完成」であるためです。

民間の子育て相談やカウンセリングの現場でも、同様の事実が裏付けられています。これまで3,000件以上の親子セッションに携わってきた心理カウンセラーの手記によると、癇癪に悩んで相談に訪れる親のほぼ100%が「自分の関わり方が悪かったのではないか」「もっと優しく抱きしめていれば防げたのか」と自分を責め苛んでいるといいます。しかし、親が過度な自責に陥ると、かえって家庭内の緊張感が高まり、子供の情動不安定を助長する悪循環を招きます。まず手放すべきは、「親の育て方のせい」という実態のない呪縛です。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。