ノストラダムスの大予言はなぜ流行ったのか?恐怖の大王の正体と現代の総括
日本におけるブームの決定的な引き金となったのは、1973年11月に祥伝社ノン・ブックから刊行された五島勉著『ノストラダムスの大予言』でした。同書は発売直後から爆発的な売れ行きを記録し、最終的に250万部を超える大ベストセラーとなりました。
なぜ、一介の西洋占星術師の詩篇がこれほどまでに日本人の心を捉えたのでしょうか。当時の社会情勢を分析すると、複合的な要因が重なり合っていたことが分かります。
第一に、時代の閉塞感と終末感の蔓延です。1973年10月に勃発した第四次中東戦争を契機とする「第1次オイルショック」により、トイレットペーパーの買い占め騒動が起きるなど、高度経済成長を続けてきた日本社会に突如として急ブレーキがかかりました。さらに、水俣病や四日市ぜんそくといった深刻な公害問題、米ソ冷戦下における核戦争の現実的な脅威が日常の影として存在していました。
第二に、マスメディアによる大々的な拡散と少年誌のタイアップです。当時の『週刊少年マガジン』をはじめとする学年誌や少年週刊誌が、図解やセンセーショナルなイラストを交えて特集を組みました。テレビ局各社もゴールデンタイムにオカルト特番を次々と編成し、「1999年地球滅亡」のイメージを視覚的に植え付けたのです。
当時の読者アンケートや手記には、「勉強しても1999年に死ぬなら意味がない」「結婚や就職の未来設計が描けない」といった小中学生からの切実な悩みが多数寄せられており、フィクションの枠を超えた社会的な影響力を持ちました。