日本初のテレビCmと精工舎の真相|1953年放送事故の裏側を徹底解剖
広告史の金字塔となるはずだった正午の第1号CMですが、送出現場では誰も予想していなかった致命的なオペレーションミスが発生しました。ネット上やテレビ特番などで「日本初のCMは放送事故だった」と囁かれる噂の真相は、誇張ではなく紛れもない歴史的事実です。
日本テレビの社史や当時の技師たちの回顧録によると、生放送の極度の緊張感の中、フィルム映写機(テレシネ装置)を担当していた技術スタッフが、35ミリフィルムを裏返し(左右逆)の状態で装填してしまいました。当時のフィルムは映像と音声トラックが一体になっていたため、裏返しにセットしたことで光学式の音声読み取りヘッドが機能せず、完全に無音状態に陥ってしまったのです。
さらに映像も左右反転した状態となり、精工舎の時計の文字盤が鏡像のように逆に映し出されました。異変に気づいた運行担当者は慌ててフェードアウトさせ、CMは予定されていた30秒を全うすることなく、わずか数秒(約3秒〜7秒程度と証言により諸説あり)で画面から消え去るという前代未聞の結末を迎えました。
しかし、ドラマはここで終わりません。同日午後7時(19時00分)の時報CMにおいて、スタッフ陣は綿密なチェックを重ねて再挑戦。ニワトリが時計の針に合わせて目覚まし時計を止めるアニメーション仕立てのCMが見事にノーミスで放映され、音声・映像ともに完璧なリベンジを果たしました。