赤線とは何か?青線との決定的な違いと昭和歓楽街の真実を徹底解剖
昭和の裏面史を語る上で最も混同されやすいのが「赤線」と「青線」の違いです。両者は隣接しているケースも多く、外見上は同じような歓楽街に見えましたが、背負っていた法的リスクや組織構造はまったく異なっていました。
決定的な違いは警察の管理下にあった公認区域か、完全な不法もぐり営業かという点に尽きます。赤線は食品衛生法や風俗営業取締法に基づく許可を得た「特殊飲食店」であり、営業税を納め、警察や衛生局と密接に連携していました。一方の青線は、酒場やバーを隠れ蓑にしながらも許可なく奥の小部屋で売春を行っていた地帯であり、警察の取締り(手入れ)の対象でした。
この違いは建築様式にも色濃く反映されました。赤線の店舗は、当局に対して「ここは健全な洋風喫茶(カフェー)である」と主張するため、外壁に色鮮やかなモザイクタイルを貼り巡らせ、入口にギリシャ風の丸柱を立て、小窓にはステンドグラス風のガラスをはめ込むなど、キッチュでモダンな装飾を競い合いました。これが現在、建築愛好家たちを惹きつけてやまない「カフェー建築」の正体です。対する青線は、摘発を逃れるために外見は質素な民家や飲み屋を装い、奥の押し入れの奥に隠し階段を設けるなど、脱法的な構造が目立ちました。