ヘルマンの歯齢一覧と覚え方|小児矯正の開始時期と国試頻出ポイント

ヘルマンの歯齢一覧と覚え方|小児矯正の開始時期と国試頻出ポイントにまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

歯科医師国家試験の出題頻度においても、矯正臨床の現場においても、群を抜いて議論に挙がるのがヘルマン歯齢IIA期とヘルマン歯齢IIIA期です。この2つのステージを的確に見極められるかどうかが、咬合異常の悪化を未然に防ぐ分水嶺となります。

まずヘルマン歯齢IIA期は、乳歯列が完全に揃った状態(A〜Eの上下20本が咬合)を指します。この時期に注視すべきは、乳前歯間に適度なすき間が存在する「生理的空隙(発育空隙・霊長空隙)」の有無です。乳歯列期にすき間が一切なく見た目が綺麗に並んでいる歯列は、後から萌出する幅広な永久歯が収まりきらず、将来的に重度の叢生(ガタガタの歯並び)へ直行する危険因子となります。また、下顎前突(受け口)や交叉咬合といった骨格的な不調和は、このIIA期の段階でムーシールドなどの筋機能矯正装置を用いて早期介入を行うことで、後の外科的矯正手術のリスクを大きく引き下げられます。

対して、小児矯正の第1期治療で最も活発にアプローチされるのがヘルマン歯齢IIIA期です。このステージは、上下の前歯4本(中切歯・側切歯)と第一大臼歯萌出時期を終え、咬合が垂直的・水平的に一度安定した局面にあたります。小児歯科の咬合誘導において、IIIA期は以下の3つの決定的なメリットを持ちます。

1点目は、顎骨の幅を広げる側方拡大装置(急速拡大装置や拡大床)の固定源として、太い根を持つ「第一大臼歯」を強固なアンカーに使える点です。2点目は、上顎骨の成長スパートが残されているため、上顎前突や下顎後退に対してヘッドギアやバイオネーターなどの顎整形力をダイレクトに伝えられる点。そして3点目は、後に控える側方歯群(乳犬歯・乳臼歯)の生え替わりに向けて、必要なアーチレングス(歯列弓の長さ)を事前に獲得できる点です。

小児矯正の開始時期を「何歳から始めるべきか」というカレンダー上の年齢で論じる親御さんは少なくありませんが、臨床医は必ずヘルマンの歯齢で口腔内のステージを読み解き、「IIA期の反対咬合改善」か「IIIA期の顎骨拡大・スペースメイキング」かのロードマップを構築しています。

山口 彩花

山口 彩花

写真家・フォトエディター

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。