古川周賢の足跡|東大哲学博士から恵林寺住職へ、禅と現代リーダーシップの融合
近年、欧米企業を中心に「マインドフルネス」が大きなブームとなり、作業効率の向上やメンタルヘルスのケアとして坐禅の手法が広く取り入れられている。しかし、古川周賢氏の視線は、そうした商業的・実用的なトレンドに対しても冷静である。
「消費されるマインドフルネス」に対する警告
「生産性を高めるためのツール」として坐禅を利用することは、結局のところ現代社会の効率主義や功利主義の枠組みの中に留まっているに過ぎない。禅の本来の狙いは、そうした「何かの役に立つ」という価値観そのものを根底からひっくり返すことにある。
ただ座り、ただ自己を忘れる。何も生産せず、何ものにもなろうとしない時間を持つこと。それによって初めて、私たちは社会が与えた肩書や役割から解放され、生の根源的な尊厳を取り戻すことができる。恵林寺の静寂の中で古川氏が説くのは、便利さと引き換えに人間が失ってしまった「無目的な存在の豊かさ」である。