江戸の職人技が息づくコート――Edo Coatの真実と再評価
2021年8月、EDO COATは東京・台東区の「2k540 AKI-OKA ARTISAN」に実店舗を開いた。この商業施設は、秋葉原と御徒町の駅間に位置する高架下空間を活用したもので、職人技術とモノづくりをテーマにした店舗が集まっている。
なぜこの場所だったのか。答えは「体験」にある。ECサイトでの販売が主軸であるにもかかわらず、EDO COATは顧客が生地に触れ、重さを感じ、袖を通す機会を重視した。店舗では既製品の展示に加えて、カスタムオーダーのサービスを提供している。
顧客は生地の色、ボタンの素材、バックルのデザイン、裏地の仕様まで選択できる。この「半オーダー」システムは、大量生産とオートクチュールの中間に位置する。工場との直接連携があるからこそ可能な柔軟性であり、顧客一人ひとりの嗜好に応えながらも、製造コストを抑えられる仕組みだ。
高架下という立地が生む独自の雰囲気
高架下という物理的制約は、逆に独特の空間性を生み出している。天井の低さ、線路の音、狭く奥行きのある店舗レイアウト――これらは一見不利に思えるが、むしろ職人的な親密さを演出する。大型商業施設の無機質な広さとは対照的に、ここには「工房」に近い空気が漂う。