夏の日の1993歌詞はなぜひどい?水着で掌返しの心理と現代の評価
ネット上の議論では「classのメンバー自身がクズな恋愛観を持っていたのか」「女性を軽視した悪質な商業ソングだったのではないか」といった極端な言説も見受けられます。しかし、これは音楽制作の文脈を無視した明らかな誤解です。
作詞を担当した松本一起氏は、早見優の『夏色のナンシー』や安全地帯の楽曲など、数多くの金字塔を打ち立ててきたヒットメーカーです。関係者の証言や当時の制作背景によると、松本氏が目指したのは「完璧でスマートな主人公ではなく、女性に振り回されて狼狽する男のリアルな滑稽さ」を描くことでした。
歌詞を精読すると、主人公の男性は決して女性を支配しておらず、むしろ「自分だけが気付いていなかった相手の底知れぬ魅力」に完全に圧倒され、手玉に取られている無力な存在として描かれています。「まるで別人のプロポーション」に衝撃を受け、動揺を隠せない主人公の姿は、冷徹な計算ではなく、思春期の少年のような無防備な敗北宣言でもあります。
また、この楽曲を歌ったclassの現在についても知っておくべき事実があります。日浦孝則氏と津久井克行氏による抜群のデュオとしてミリオンセラーを放ったclassですが、津久井克行氏は2009年10月に膵臓がんのため49歳の若さで逝去されました。その後も日浦氏はソロアーティストとして、また後進のミュージシャンたちがカバーを通じてこの楽曲を大切に歌い継いでいます。テキストの過激さばかりが切り取られがちですが、緻密に計算されたAOR調のコード進行やコーラスワークの美しさは、今なお色褪せない音楽的遺産です。