漆黒の海になぜ鮮やかな桃色?世界が息を呑んだ謎の深海魚の正体
日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)をはじめとする世界の先端研究機関は、無人探査機や超高圧水槽を駆使し、超深海生命の謎を分子レベルで解き明かしつつある。
水深8000メートルを超える海溝底では、水圧によって通常のタンパク質は立体構造を保てず、細胞膜の流動性も失われてしまう。JAMSTECなどの研究によって、深海魚の体内にはトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)と呼ばれる浸透圧調整物質が極めて高い濃度で蓄積されており、これがタンパク質の変性を防ぐバリアとなっていることが判明した。
また、採取された極めて貴重なサンプルは、国立科学博物館をはじめとする研究施設で最新のマイクロCTスキャンやゲノム解析にかけられている。骨の石灰化をあえて放棄し、軟骨とゼラチン質の組織で構成されたその身体は、過酷な深海探査がもたらした進化の奇跡そのものだ。