『マルサの女』山崎努の怪演秘話!権藤英樹の名言と現在を徹底解剖
本作のあらすじと最大の緊迫感を生み出しているのが、徹底的な取材に基づいて描かれた脱税手口の生々しさです。権藤英樹が経営するラブホテルでは、自動精算機を細工して売上データを改ざんする、別会社への架空外注費を計上する、他人名義の隠し口座を何十口も開設するなど、バブル前夜の日本で実際に行われていた手口がリアルに描写されました。
物語のクライマックスとなるのが、マルサによる権藤邸への強制調査(ガサ入れ)シーンです。査察官たちが家中の壁や床、仏壇の裏まで調べ尽くす中、権藤は平然とした態度でタバコを燻らせます。しかし、板倉亮子の執念深い嗅覚によって、書斎の二重壁の奥に潜む「隠し部屋」の存在が暴かれます。
隠し部屋の扉が開いた瞬間に現れる、天井まで積み上げられた札束と金の延べ棒の山。このシーンの撮影にあたり、伊丹監督は本物の質感に徹底してこだわり、照明と美術スタッフにミリ単位の調整を要求したと伝えられています。札束の前に引きずり出された権藤が、観念した瞬間に見せる表情の変化――怒り、諦念、そして査察官への奇妙な敬意――を演じきった山崎努の演技力は、まさに鳥肌モノの迫力でした。