妊娠後期の吐き気なぜぶり返す?原因と胃もたれ解消法を徹底解説
多くのプレママを絶望的な気持ちにさせる「つわりの再来」ですが、臨床医学の観点から見ると、妊娠初期のつわりと妊娠後期の吐き気は発生メカニズムが根本から異なっています。妊娠後期に気持ち悪い状態が続く最大の理由は、主に3つの身体的変化が複合的に絡み合っているためです。
第1の要因は、物理的な胃の圧迫と位置の変動です。妊娠8ヶ月(28週)から臨月(36週〜)にかけて、子宮底長は約25〜35cm近くまで急激に増大します。この巨大化した子宮が、みぞおち付近にある胃や十二指腸を真下から押し上げます。本来は縦型に位置している胃が、下から強く押しつぶされて横向きに変形し、胃の容積そのものが大幅に縮小してしまいます。その結果、少量の食事や水分を摂っただけでも胃壁の内圧が急上昇し、激しい胃もたれや吐き気を誘発するのです。
第2の要因は、女性ホルモン「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と「リラキシン」の作用です。これらのホルモンは、出産に向けて骨盤周囲の靭帯を緩めると同時に、内臓の平滑筋を弛緩させる働きを持っています。これにより胃や腸のぜん動運動が著しく鈍化し、食べたものがいつまでも胃内に停滞します。さらに、食道と胃の境目にある下部食道括約筋(胃酸の逆流を防ぐ弁)の締まりも緩んでしまうため、胃酸が容易に食道へ逆流し、妊娠後期の逆流性食道炎を引き起こします。
第3の要因として見逃せないのが、胎動によるダイレクトな物理刺激です。妊娠後期になると赤ちゃんの骨格や筋肉が発達し、キック力や回転運動の威力が格段に増します。胎児の足や背中が胃や横隔膜、肝臓の直下を強く蹴り上げるたびに、強い吐き気や胃の差し込み痛が引き起こされるケースが多発しています。