誤解だらけのイスラム教:世界を揺らす信仰の真実とメディアの裏側
世界中のムスリムが一日5回、向きを合わせる場所がある。サウジアラビアの聖地メッカに位置するカアバ神殿だ。黒い布に包まれた立方体の建造物を囲み、何万もの人々が同一の言語、同一の姿勢で祈りを捧げる光景は圧倒的だ。そこには人種も国籍も格差も存在しない。白装束を身に纏った信徒たちは、神の前での平等を全身で体現する。
日常の信仰をさらに深めるのが、ヒジュラ暦の第9月に訪れる聖なる月ラマダンだ。日の出から日没まで一切の飲食を断つ。空腹を通じて持たざる者の苦しみを自覚し、自己を省みる試みである。日没後、家族や近隣住民が寄り添って食べる最初の食事「イフタール」の温かさは格別だ。ラマダンは単なる我慢の行事ではなく、コミュニティの絆を確かめ合い、慈愛を分け合う祝祭の時間でもある。